はじめに
2000年9月、文部科学省は、将来における日本のスポーツのあり方を明示した「スポーツ振興基本計画」を策定し、その中で、わが国の国際競技力向上に必要な施策として「一貫指導システムの構築」を必要不可欠な施策の第一の項目として示した。そして、その到達目標として、「2005年を目途に、競技団体がトップレベルの競技者を育成するために指導理念や指導内容を示した競技者育成プログラムを作成するとともに、このプログラムに基づき競技者に対して指導を行なう体制を整備する」ことを求めている。このような国の方針を待つまでもなく、競技者育成と指導者育成は、将来の日本ラグビーの発展に欠かせない両輪とも言うべき重要な施策である。健全なラグビーの普及も、国際舞台で戦う優秀なプレーヤーの誕生も、あるいは次代の日本ラグビーの事業を推進する人材の出現も、すべては一貫指導体制の確立と充実が、その鍵を握っていると言っても過言ではない。ラグビー強国のプロ化が定着しつつある今日、人々のラグビーとの関わり方も多様化し、コーチングの対象者は、幼児から高齢者、あるいは障害者と多岐にわたっている。このような時代にあって、人を導き、育てる役割を担うコーチには、人間的な魅力や経験に加えて、さまざまな知識や専門性が求められる時代となっている。「JRFUコーチングの指針」は、その多様化した時代にあって、プレーヤーが誰の指導を受けても安全で、かつ健全に、そして楽しくプレーし向上していくための一貫した指導のあり方について明示したものである。日本ラグビーに関わる全ての指導者には、この指針に沿った思想の展開が求められる。
Chapter-1
・日本ラグビーフットボール協会の目的と3つのプログラム
・柱となる指導方針
・どんなプレーヤーを育てるべきか
Chapter-2
・防御の目的
・ラグビーゲームの基本的な考え方
・ラグビーゲームを形づくる基本要素
・攻防の目的と指導の方向性
Chapter-3
・指導のアウトライン
・基礎・基本についての考え方
Chapter-4
・コーチの役割
・段階別指導のあり方
・コーチに対する評価
Chapter-5
・ゲームを最大限にイメージさせる
・累進(段階)的な練習を効果的に取り入れる
・ゲーム中心の指導で「プレー」させる
・「安全」を確保するために練習を重要視する
・「失敗」から学ばせる
・最大限の機会と最大限の活動を与える
・簡潔な指導を心がける
Chapter-6
・世界で戦うためのプレーヤー像
Chapter-7
・JAPANの目指すラインのとらえ方
・ポジションの決定と変更
・フィットネスとコンディショニングの向上のためのカギ
・判断力と想像力を育てるためのカギ
・国際性と社会性を育てるカギ
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