日本のラグビーの一貫指導
日本ラグビーフットボール協会の目的と3つのプログラム
日本ラグビーフットボール協会は正しいラグビーフットボールの普及振興をその目的としている。これをうけ、正しいラグビーフットボールを普及振興するとともに、国際競技力向上に寄与することを、日本ラグビーフットボール協会のコーチングの目的とする。この目的を達成するために、コーチング委員会は次に示す3つの指導プログラムの必要性を提唱する。
1 すべてのプレーヤーが、健全にプレーし向上するための育成指導プログラム(Development Program)
2 将来日本代表として活躍する選手を育成するためのエリートプログラム(Elite Program)
3 日本代表チームを頂点とする日本協会各代表チームにおける強化指導プログラム(Top Program)
これら3つの指導プログラムは、冒頭に記した日本ラグビーフットボール協会のコーチングの目的達成に向けて、それぞれ一貫した指導方針に基づいて、年齢やレベル、性差に応じた内容で構成されるべきものである。
柱となる指導方針
「JRFUコーチングの指針」は、上記3つのプログラムのうち、最初に示した日本協会のラグビーに関わるすべてのプレーヤーを対象とした育成指導のためのプログラム(Development Program)の骨格を明示したものであり、日本におけるラグビーの指導の「柱となる指導方針」である。具体的には、国際競技力向上を常に視野におきつつ、安全を最優先しながら、プレーヤーの主体性を重視し、ゲームの質や技能向上を促進するための一貫指導のあり方を明らかにしたものである。日本ラグビーフットボール協会のコーチは、この「JRFUコーチングの指針」をベースにコーチングを展開する。
どんなプレーヤーを育てるべきか
1 「ラグビーが好きでたまらない」というプレーヤーを育てよう
「ラグビーというスポーツが好きでたまらない」というプレーヤーを育てよう。
「いつでもラグビーを愛し、関わっていたいというプレーヤーを育てよう。
2 ゲームをエンジョイできるプレーヤーを育てよう
ゲームを安全に楽しむために体を鍛え、準備し、常に集中してゲームを楽しめるプレーヤーを育てよう。
3 上手になりたいと思い、そのために自ら挑戦し、努力するプレーヤーを育てよう
常に前向きで、向上すること、挑戦することを大切に努力するプレーヤーを育てよう。世界を目指し、日本代表選手になることを目指すプレーヤーを育てよう。
4 勝つために考え、工夫できるプレーヤーを育てよう
ゲームの構造や、ルールの意味を理解し、勝つためによく考え、工夫できるプレーヤーを育てよう。
5 大人のプレーヤーを育てよう
自らの思考と判断にもとづいてプレーし、自らのプレーの結果に責任を持つプレーヤーを育てよう。自主性、主体性をもってプレーするプレーヤーを育てよう。
6 コミュニケーション能力の高いプレーヤーを育てよう
コーチやチームメイトの声に耳を傾け、さまざまな情報を成長の糧にでいる柔軟性を持ったプレーヤーを育てよう。互いに意見や考えを交換し合い、分かち合うことを大切にし、そのため技術向上に努力するプレーヤーを育てよう。
7 プレーすることに誇りを持つプレーヤーを育てよう
どんな場面でも、どんな相手に対しても、自分自身とチームに対して誇りを失わないプレーヤーを育てよう。
8 相手とレフリーを尊重するプレーヤーを育てよう
真剣に戦ってくれる相手がいるからラグビーは面白い。献身的な態度でジャッジしてくれるレフリーがいるからゲームが成り立つ。相手とレフリーを、ゲームを楽しむためのパートナーと捉えることの出来るプレーヤーを育てよう。
9 ノーサイドの精神を大切にするプレーヤーを育てよう
「ノーサイドno sideとは、相手と味方の区別がなくなる」という意味である。ラグビーを通して、相手とも仲間になれるプレーヤーを育てよう。